あめゆきをとって

仮題と下書き

母が死んだ(らしい)

母が、死んだ。

私も死にかけて、いま病院のベッドにいる。

点滴の管が繋がっている。

意識が戻り、カレンダーを見て、どうやら母は死に、葬式も全て済んだ後なのを察するだけで、まだそれを確かめていない。

けれども私が今現在こうなっているのは、母の死が引き金になったと想像できる。

母は、死んだ。

私が先日、新聞の短歌賞をとった、それを母に伝えていたかどうかもわからない。

私の事だから、新聞を見せて驚かそうとしたかも知れず、それなら母は知らずに逝った事になる。

よい話だから、子供のように嬉々としてすぐに伝えてあったかも知れない。わからない。わからないけれど、どちらでもいい。母は、死んだのだから。

 

30年前の今日この時間、私は難産の末に娘を産んだ。

里帰りせず自分でやろうと決めたのに、産後うつになった私を手伝うために上京した母。

私は、母に、いったい何をしてあげただろうか。